Stentor pyriformisに関する実験

2018.01.06 の実験室の様子

実験コーナーの全景
左の壁際に2台の恒温庫があるが,一昨日,これらの温度設定を変えた。
1枚目:以前は両方とも16℃だったが,手前の恒温庫の設定温度を下げて10℃にした。
2枚目:2台並んだ恒温庫。
左側を10℃に変えた。また,左側のLED照明を1台から2台に増やした。
以前は両方とも上段には従来からある10Wの蛍光灯が1台,2段目に水槽用の LED照明を1台比較的最近設置してあったが, 左側(10℃)には3段目にさらにもう1台,水槽用の LED照明を追加した。

左側(10℃)の恒温庫。
いずれの段も奥に従来のキロモナス+養命酒+1/50KCMで培養しているシャーレを配置している。こちらは保存用。 以前の結果では,半年以上放置しても死ぬことはなかったので,適当に培養液を交換すればよい(はず)。 手前は,水耕栽培用の液肥(+α)で培養中のもの。様々な条件(液肥の濃度,追加のKCMの有無,など)で培養を試みている。 こちらは今実験中のものなので毎日培養の様子を確認する必要がある。
1枚目:1段目の様子。 2015年に八幡平で採集 した S. pyriformis株 たち(八幡平2019.9.24 1204,八幡平2019.9.24 1236,八幡平2019.9.24 1331,八幡平2019.9.24 1332)。 10Wの蛍光灯なので,2,3段目に比べて明るさが足りない。これがどう影響するかやや不安。
2枚目:2段目の様子。 2015年に福島で採集 したサンプルたち(浄土平2015.10.10 1436,鳥子平2015.10.10 1256,栂平2015.10.10 1256)。
3枚目:3段目の様子。 2015年に青森・秋田地区,および,日光・尾瀬地区で採集したサンプルたち ( 田代平2015.8.30 1057田代平湿原2015.10.5 856横田代2015.8.15 1157田代山湿原2017.7.9 )

右側(16℃)の恒温庫。
左側にあるのと同じS. pyriformis株をシャーレの数を減らして1,2段目に置いてある。
1枚目:1段目の様子。
2枚目:2段目の様子。
3枚目:3段目の様子。
ここには以前2台の恒温庫で培養していた様々な原生生物を大幅に数を減らしてまとめてある。 廃棄してしまったものもある。今現在,残っているのは・・・。
左側:キャップ付き試験管で無菌培養しているいくつかの原生生物 ( キロモナス Chilomonas paramecium, ポリトメラ Polytomella, ポリトメラ Polytoma tetraolare, テトラヒメナ Tetrahymena など)と
右側: 大型シャーレで有菌培養している アメーバ・プロテウス(Amoeba proteus) と繊毛虫2種(共生藻を持つ クリマコストマム Climacostomum virens, レプトファリンクス Leptopharynx )のみ。 アメーバ・プロテウスには,餌として,以前は無菌培養したテトラヒメナを与えていたが,現在は無菌培養したキロモナスを与えている。 クリマコストマムとレプトファリンクスには,餌として,いずれも無菌培養している ミドリムシ(Euglena agilis) を与えている。

右側(16℃)の恒温庫の上
ここは自分が座っているイスのすぐ裏になるので,取り出しやすいように,ここにもペーパーふきんを置いてある。 ペーパーふきんは,実験台の右側にも置いてあるが,使いやすいように,ここにも配置した。
すぐ後ろにアルミフォイルをかぶせた三角フラスコがあるが,中には液肥(ハイポネックス)で培養中の各種藻類が入っている。 以前は2台の恒温庫の上にたくさん置いてあったが,先日,大半(2/3)を廃棄した。現在残っているのはごくわずか。

恒温庫の右側と窓際に配置しているカラーボックス(白)など。
1枚目:恒温庫と実験テーブルの間には,移動式のラックがあり,上部に蛍光灯(トルーライト)を設置してある。 各段には,大型の接合藻各種(いずれも無菌培養)が入った三角フラスコが置いてある。これはかなり以前からあるもの。 最近までdisposableの平底フラスコに入った様々な微細藻も継代培養していたが, 次第に世話が行き届かなくなり,数年前にすべて廃棄した。
右の実験台の上にあるカラーボックスには,これまでアメーバの培養に使用していた大型のガラスシャーレが置いてある。 他にもたくさんのガラスシャーレがあるが,これらは私が法政大に就職する以前(1982年以前)から研究室にあったものだ。 私が就職する前は,研究室のメンバー全員が,アメーバプロテウスを使って研究を行っていたそうだ。 餌は,米粒(+カビ)を各シャーレに数粒加え,それを栄養源として増えるキロモナス(有菌培養)を餌にしてアメーバの培養を 行っていた。しかし,米粒+有菌培養のキロモナスだと培養条件が安定せず,アメーバの細胞数もあまり増えない。 そこで,私は無菌培養したテトラヒメナを餌にして培養することにした。 これだと培養条件が安定するし,テトラヒメナは栄養豊富なので,アメーバプロテウスは,最速,1日に1回のペースで分裂増殖した。 この方法での培養を35年間続けてきたのだが,つい最近,培養の手間を省くために 餌生物を無菌培養したテトラヒメナから,無菌培養したキロモナスに変えた。 また,培養器もガラスシャーレから,他でも使用しているプラスチックシャーレに変更した。
実験テーブルの上にも,つい最近までは三角フラスコで培養していた様々な藻類があったが, これらも現在は消えている。一部は左の移動式ラックに移したが,他の大部分は,恒温庫の上にあった各種藻類と同様,廃棄した。
2枚目:これまでに何度も撮影している窓際の様子。 S. pyriformis の多くを低温条件の恒温庫に移したことで大幅にシャーレの数が減っている。 いずれも様々な条件の液肥+光で培養中のもの。 液肥の場合,室温はあまり良くないのか,各シャーレで一部の細胞が死ぬ傾向にある。 すでに全滅してしまったものもある。

窓際で培養中の S. pyriformisたち
1枚目:カラーボックス中段で培養中の 横田代株。
2枚目:右のラック,中段で培養中のもの。左端は 八幡平1331株。 左から3列目は 田代平株(すでに絶えた)。 右端の2列は 栂平株。
3枚目:下段で培養中の八幡平1204株と八幡平1236株(こちらはすでに全滅)。

窓の右にある壁際の様子
1枚目:上段には,餌生物として培養中のミドリムシ,キロモナス,ポリトーマが入った三角フラスコが置いてある。 フラスコの数は,以前より2/3に減っている。
2枚目:中段の様子。 様々な条件で培養中の 鳥子平株,田代平湿原株が置いてある。

実験台上の様子(全景をパノラマ撮影)
1枚目:左端の実験台。棚の下に2段組みのラックが2台ある。 最近までたくさんのシャーレが置いてあったが,キロモナス+養命酒+1/50KCM培養法が確立したので数を減らした。 各野外株ごとに,最大4枚のシャーレに制限した。 こまめに餌(キロモナス)やりを続けた場合,いずれの株もおよそ1ヵ月で細胞数が倍加する。 手前の水槽に大きく成長したフナがいる(後述)。
2枚目:中央の実験台。ここにも2段組みのラックが2台ある。 左端と同様,S. pyriformisの野外株は各々4枚ずつに制限してある。左側のラックの下段にあるのは,かなり前から培養を続けている ミドリムシ(Euglena mutabilis 2株,E. gracilis 4株)の無菌培養。一部は学生実験の際の観察材料に使用している。
右側のラックの下にある4枚のシャーレには,有菌で培養しているEuglena mutabilis4株がいる。 こちらはときおり液肥(以前はエコゲリラ,つい最近,ハイポニカに替えた)を交換するだけで,培養が維持できている。 野外採集したサンプルを長期間蛍光灯の下に放置していると,次第に他の原生生物が死に絶え,Euglenaだけが残って大量増殖することがある。 これらはそうやって確立した培養だ(したがって単離培養したものではない)。
3枚目:右側の実験台。一番端に光学顕微鏡が置いてあるが,その手前に3段組みのラックが1台置いてある。 ここも最近までは様々な原生生物等が入ったシャーレが置いてあったが,最近,ほとんどを処分した。残っているのは, 以前,学生実習用に購入したオオカナダモの試料に混入していた3種の貝のひとつ, インドヒラマキガイが1個体のみ。多くいたのはサカマキガイだったが,このヒラマキガイはそれらのヒラマキガイを食べてしまうので, ヒラマキガイのいる水槽から出して,この小さなガラス容器の中で飼っている。 餌として冷凍アカムシを与えているが,緑色の糞も大量に出すので,雑食性のようだ。

実験台上の様子
1,2枚目:左側の実験台に置いてある2段組みのラック2台。
左側のラック(1枚目)には 田代平株(秋田県)と田代平湿原株(青森県)がそれぞれ4枚ずつのシャーレに入って2枚重ねで置いてある。 右側のラック(2枚目)には,いずれも福島県(吾妻山)産の株(浄土平,鳥子平,栂平)がそれぞれ4枚ずつある。
3,4枚目:中央の実験台に置いてある2段組みのラック2台。
左側のラック(3枚目)には,中央にS. pyriformis横田代株(4枚)とその右に,現在絶滅しかかっているS. pyriformis田代山湿原株がいる。 左端にある3枚のシャーレには,共生藻をもつ別のラッパムシ,S. fuliginosusが入っている。 こちらは現在,液肥での培養を試みているが,あまり増えていない。S. fuliginosusはキロモナスでないと増えないのかも知れない。
右側のラックには,八幡平で採集した株(八幡平1204,1236,1331,1332)が置いてある。
5枚目:

実験台上の様子
1枚目:
2枚目:

培養実験中のシャーレの詳細-1

培養実験中のシャーレの詳細-2

培養実験中のシャーレの詳細-3

培養実験中のシャーレの詳細-4

培養実験中のシャーレの詳細-5

こんなに大きくなりました(現在はおよそ3才と8ヵ月)
参照-1:採集直後(2014.04.18;孵化直後だった)。
参照-2:2ヵ月後(2014.06.20;体色は黄色だった)。

器材コーナーにある恒温庫
10℃での培養は,最初ここで始めた。現在も継続中。

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