日光市(旧栗山村)
鬼怒沼湿原
Part III: 金沼〜北端〜南端
ここで採集されたサンプルの観察結果を Google で検索 お知らせ

採集日:2009.07.29 ウオッちず で位置確認

鬼怒沼湿原,湿原の北端では木道の付け替え工事中だった(日光市),14:17
1,2枚目:パノラマ撮影。 さらに北に向って進むと,前方になにやら工事現場のような場所が見えてきた。

鬼怒沼湿原(日光市),14:19
イワショウブTofieldia japonica)。

鬼怒沼湿原,右へ行くとその先に避難小屋がある(日光市),14:20
1,2枚目:木道が二股に分かれているところでパノラマ撮影。 確認しなかったが,右の先には避難小屋があるらしい。こちらの木道はかなり古そう。 その脇には新しい木道に付け替えるための木材が山積みしてあった。

鬼怒沼湿原(日光市),14:20-14:21
ギボウシHosta)の仲間。

鬼怒沼湿原,ここから先は工事中(日光市),14:22
大清水方面へ向う木道をさらに北へ進むと,途中から色が変わった。 周辺には撤去した古い木道の部材や,木槌などが置かれていた。 とりあえず歩けるところまで歩いてみる。

鬼怒沼湿原(日光市),14:23

鬼怒沼湿原(日光市),14:24
潅木地帯に入っても木道は続いていた。

鬼怒沼湿原,(日光市),14:24-14:25
1,2枚目:しかし,その先は片側の古い木道を撤去したばかりで,これから新しい木道を敷設するところだった。 これから敷設する新しい木道(左側)の部材が,すでに出来ている右側の木道の上に置かれていた。 左側の古い木道が撤去された跡には,水がたまり水路のようになっていた。

鬼怒沼湿原,ここでUターン(日光市),14:27
さらに進むと木道は途切れていた。 前方の茂みの中に,木道らしきものが横方向に敷設されているのがかすかに見える。 あそこが登山道の分岐点のようだ。 左は物見山(毘沙門山,標高 2113m)を経由して大清水へ向うルート(前出の道標によると 6.0km先), 右は鬼怒沼山(標高 2141m),黒岩山(標高 2162.8m)の脇,赤安山(標高 2050.7m), 小淵沢田代等を経由して尾瀬沼方面へ向うルート(だいぶ長い)。
ここが鬼怒沼湿原の北端であることが確認できたので,ここから引き返すことにした。

鬼怒沼湿原(日光市),14:29
避難小屋への分岐まで戻った。

鬼怒沼湿原,ガスってきた(日光市),14:35
木道の架け替え工事現場を過ぎてしばらくしてから湿原の南側を撮影。

鬼怒沼湿原(日光市),14:35
足下を撮影。 木材の端に尾瀬でよく見かける東電の焼き印があった。ここの木道は昨年更新されたばかり。

鬼怒沼湿原,金沼脇を通過(日光市),14:36

鬼怒沼湿原(日光市),14:37-14:38
結婚飛行を終えて羽を落とした ムネアカオオアリCamponotus obscuripes)の女王がいた。 このアリの結婚飛行は普通6月頃のはずだが,ここは標高が高いのでこの時期になるということ? ちなみにこれまでに撮影したムネアカオオアリの画像は こちら

鬼怒沼湿原(日光市),14:38
雨に打たれた後のワタスゲEriophorum vaginatum)の果穂。 雨の後は見る影もない・・・。

鬼怒沼湿原,木道の分岐点から南側を撮影(日光市),14:39
1,2枚目:パノラマ撮影。 往路は左側の木道(東,1枚目)を通ったので,今度は右(西,2枚目)へ。

鬼怒沼湿原,さきほど通らなかった西側を歩く(日光市),14:41
これは少しカメラじたいが右に傾いているようだが,,。 既述したように,湿原の南側は西(画面右)から東(画面左)へやや傾斜している。

鬼怒沼湿原(日光市),14:41
1,2枚目:今度はパノラマ撮影。 これでも右から左へ傾斜しているのがわかる。

鬼怒沼湿原,西側にある池塘から溢れた水が木道を横切って東へ流れていた(日光市),14:43
1枚目:木道の西側。前方の池塘から木道に向って水路が続いている。 2枚目:木道の下をくぐる水路。 3枚目:木道の東側。遠くの池塘に向って水路が伸びている。

鬼怒沼湿原,水底を覆う緑色の粒,むむ!これは?(日光市),14:44-14:46
1枚目:その水路の近くの水たまり(池塘?)。 水底を見ると何やら緑色の粒々が見えた。 2枚目:水面ギリギリまでカメラを近付けて撮影。 最初はアオコか何かが大量発生しているのかと思ったが,それにしては粒が揃い過ぎている。 3枚目:ピペットで吸い取ってみると,何やら緑色をした円錐形のものがたくさん浮かんでいた。 それらを採集(鬼怒沼湿原-9)。 この緑色の粒々を見た時,一昨年(2007.8.23), 黒谷地湿原で採集した ラッパムシ(Stentor pyriformis) を思い出した。それが4枚目の画像。
じつは,このStentor pyriformisについては,最近,100年以上前の論文(注)を読んだばかり。 それによると,米国?では,このラッパムシは沼や湖の水底を覆い尽くすほどに大量発生することがあるという。。 もしかするとこれも・・・と期待したのだが。。。。 翌日,研究室に持ち帰って観察すると,このサンプル(鬼怒沼湿原-9a, 鬼怒沼湿原-9b)にあったはずの緑色の粒々は完全に消失していた。 持ち帰る途中で死んだ?と一瞬思ったが,これまで1日くらいで全滅するというのは一度も経験したことがないので,どうもおかしい。 もしかすると,ラッパムシではなく他の小さな藻類が塊を作っていて,それが持ち帰る途中の震動でバラバラになった? とも考えたが,ならば,ばらばらになった藻類がたくさんいてもおかしくない。が,それも無かった。
さらに詳しく観察すると,一緒に混じっていた何種類かの藻類(糸状藻類やハタヒモなど)も細胞壁だけを残してすべて死んでいた。 ようするにすべての原生生物が死滅していた。 これは不思議。下段の画像は,同じ場所の緑色の粒々があった層の少し下の層の腐食質を採集した時の様子だが, このサンプルは他と同様,中にいた原生生物は死んではいなかった。
採集した時点で緑色の粒々を含む表層の部分だけがなんらかの原因ですでに死んでいたのか, それとも最初は生きていたが,持ち帰る途中,なんらかの理由ですべて死滅してしまったのか,のいずれかだろうが, 今のところどちらだったかは不明。 緑色の粒々がラッパムシだったかどうかも,何も残っていないので今となっては確かめようもない。
観察された生物: ナベカムリ(Arcella sp.), ディフルギア( Difflugia bacillifera), ペロニエラ(Peroniella hyalothecae), ミクロスポラ(Microspora), コウガイチリモ( Pleurotaenium minutum), ハタヒモ( Netrium digitusN. oblongum), ネジモ(Spirotaenia condensata), フタボシモ(Cylindrocystis), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens), Bambusina brebissonii, クロオコッカス( Chroococcus turgidus), ワムシ,

注:Johnson, H.P. (1893), A contribution to the morphology and biology of the Stentors, J. Morph., vol.8, 467-562.

鬼怒沼湿原,ラッパムシの大集団?かと思ったが・・・(日光市),14:47-14:49
1枚目:同じ場所で緑色の粒々がある層の下側にピペットを突っ込んで腐食質を含んだ泥を 採集(鬼怒沼湿原-9)。 ここには色々な原生生物がいた(しかも生きた状態で)。 その中には,数は少ないが,生きたStentor pyriformisもいた。
観察された生物: クリプトモナス(Cryptomonas), カリキモナス(Calycimonas physaloides), ナベカムリ( Arcella sp.1Arcella sp.2), トゲフセツボカムリ(Centropyxis ecornis), ディフルギア( Difflugia acuminataD. bacilliferaD. claviformisD. elegansD. oblongaDifflugia sp.), 共生藻を持つLesquereusia or other genus ?, アミカムリ( Nebela collaris), 共生藻を持つラッパムシ(Stentor pyriformis), サヤツナギ(Dinobryon sertularia), 珪藻少々, アステロコッカス(Asterococcus sp.), ミクロスポラ(Microspora), ウネリマクラ(Docidium undulatum), ホシガタモ( Staurastrum wandae), イボマタモ( Euastrum cuneatum), ハタヒモ(Netrium oblongum), ネジモ(Spirotaenia condensata), フタボシモ(Cylindrocystis), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens), Bambusina brebissonii, クロオコッカス( Chroococcus pallidus), シネココッカス(Synechococcus), メリスモペディア(Merismopedia), ユレモ(Oscillatoria), Achromatium oxaliferum, ワムシ, センチュウ,

鬼怒沼湿原を去る(日光市),15:06
湿原に2時間13分(12:53-15:06)滞在した後,往路を辿って登山道を下る。

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2009.07.29, 12:53 - 15:06

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