日光市(旧藤原町)
枯木沼湿原
Part I: 湿原入口(西端)〜湿原東端
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採集日:2009.05.01 ウオッちず で位置確認

枯木沼湿原に到着(日光市),12:00
1,2枚目:湿原(沼)の入口には木製の鳥居がある。

枯木沼湿原入口(日光市),12:00-12:01
1枚目:鳥居の手前にある標柱。 「枯木沼,(右から)鶏頂山荘まで1100m,標高 約1340m,釈迦岳まで3580m,鶏頂山まで2630m」とある。 2枚目:鳥居に打ち付けてある金属板。 「立大講義,奉 片嶋長吉,殿 昭和五十八年五月吉日,建立」と読める。 「片嶋長吉」で検索してみたが何もみつからない。よって今のところ,この金属板は意味不明。 3,4枚目:鳥居の足下にはそれぞれ1頭ずつの狛犬(獅子?)が配置されている。

枯木沼湿原(日光市),12:01
湿原へ入る。 鶏頂山登拝口にあった案内図にあるように,枯木沼湿原は東西にやや細長い。 入口はその西端にある。 木道は前方で交差しているが,登山道を兼ねる木道は交差点を右折して南へ向う。 左の木道はゆっくりと右へカーブして北向きから東向きに変わる。 交差点から前(東)へ伸びる木道は乾燥地帯を通り左へカーブして,左側の木道と合流する。

枯木沼湿原(日光市),12:02
1〜3枚目:木道に入ったところでパノラマ撮影。

枯木沼湿原(日光市),12:02-12:04
1枚目:木道は所々壊れている。 2枚目: 後述するが,湿原全体には,東側から西,そして南へ向ってゆるやかな水の流れがある。 入口近くは西端にあるので,木道の下を通って南へ向ってわずかに水が流れていた。 その近くの草と水辺との境付近にピペットを付けて,水底の泥を 採集(枯木沼,入口近くの木道脇)
観察された生物: コクリオポディウム(Cochliopodium), ディフルギア( Difflugia elegansDifflugia sp.), アミカムリ( Nebela collarisN. lageniformis), Argynnia, クアドルレラ(Quadrulella symmetrica), ユーグリファ( Euglypha strigosaEuglypha sp.), トラケロユーグリファ(Tracheleuglypha), トリネマ(Trinema enchelys), Paulinella chromatophora, プルーロネマ(Pleuronema)?, ツリガネムシ(Vorticella sp.), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ミカヅキモ(Closterium toxon), イボマタモ( Euastrum sinuosum), チリモ(Desmidium swartzii), ケンミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:05
1〜3枚目:木道の分岐点手前で再度パノラマ撮影。 既述したように,ここで木道は三方向に別れる。 交差点には登山道の方向を示す道標が立っている。 1枚目:左側は,その先で右にカーブして湿原の東端へ向う。 2枚目:前の木道は,今回は歩かなかったが,前方で左に折れて左側の木道に合流する,はず。 3枚目:右側は,南へ進んで湿原を出る。その先で左(東)へ折れ,かつてゲレンデだった斜面を上がる登山道となる。

枯木沼湿原(日光市),12:06
交差点の木道脇に置いてある道標。 「みはらしスキー場」(注)が湿原の東にあるゲレンデのことだとすれば,この配置は正しい?

注:この「みはらしスキー場」の名は地図等にはない。 後出するスキー場の案内図に, 現在エーデルワイススキーリゾートがある位置に「鶏頂高原見晴スキー場」 という文字が記してあった。 この道標?は, おそらくこの先(枯木沼の東側)にエーデルワイススキーリゾートの「枯木ペアリフト」があることを指し示しているのだろう。

枯木沼湿原(日光市),12:06-12:08
1枚目:上述の左側の木道へ入り,湿原の東側へ向かって進む。 2,3枚目:全体に水の流れがあるようなので,池塘とは呼べないだろう?が, 草原の間にある大きな水辺で 採集(枯木沼,中央部の木道脇-1a, -1b)
観察された生物: 渦鞭毛虫の一種, トゲフセツボカムリ( Centropyxis aculeataC. constricta), ディフルギア( Difflugia elegansD. oblongaDifflugia sp.), アミカムリ( Nebela collarisN. penardianaNebela tenella), Lesquereusia, ユーグリファ( Euglypha acanthophoraEuglypha sp.), トリネマ2種(Trinema enchelys), サイフォデリア(Cyphoderia ampulla), ロクソフィルム(Loxophyllum), ウロトリカ(Urotricha), スチロニキア(Stylonychia), オフリディウム(Ophrydium), 棘毛類繊毛虫, 未同定の繊毛虫, 珪藻各種, イトクズモ(Ankistrodesmus falcatus), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), サヤミドロ(Oedogonium), ホシミドロ(Zygnema), コウガイチリモ( Pleurotaenium nodosum), ミカヅキモ( Closterium baillyanumC. cynthiaC. dianaeC. intermediumClosterium libellulaC. rectimarginatum?), トゲツヅミモ(Xanthidium antilopaeum), ツヅミモ( Cosmarium moniliformeC. ornatumC. portianumC. quadrifarium), ホシガタモ( Staurastrum johnsoniiS. subaviculaS. subteliferumS. teliferum), アルスロデスムス( Arthrodesmus convergens), イボマタモ( Euastrum affineE. ampullaceumE. ansatumE. crassumE. humerosumE. sinuosum), アワセオオギ( Micrasterias ceylanicaM. crux-melitensisMicrasterias truncata), ハタヒモ(Netrium digitus), メソテニウム(Mesotaenium macrococcum), クロオコッカス(Chroococcus), Hapalosiphon, センチュウ, ケンミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:10
1〜3枚目:東に向って木道を進む。 右側は乾燥しているらしく木々が目立つ(注)。 2,3枚目:右から合流する木道があるが,これが交差点から東に向った木道だと思われる。 ただし,遠くにも木道が見える(3枚目)ので, 交差点から東に向った木道は途中で分岐して湿原の南東側にも伸びているのかも知れない。

注:この木々がある場所は湿原の中央部? というのは,3枚目の画像にあるように,乾燥地帯の先にも木道が敷設されているので, この木々が育つ場所の周囲を湿原が取り囲んでいると推察されるからだ。

枯木沼湿原(日光市),12:11
1枚目:木道脇に水辺が広がる場所へ来た。 草の近くにはクロサンショウウオHynobius nigrescens)の卵塊がたくさんある。 2枚目:ここで採集(枯木沼,中央部の木道脇-2)
観察された生物: アクチノフリス(Actinophrys sol), アカントキスチス(Acanthocystis turfacea), ポンフォリクソフリス(Pompholyxophrys punicea), ポリカオス(Polychaos dubium), ナベカムリ( Arcella sp-1 pseudostome が十字形 初観察), Arcella sp-2), トゲフセツボカムリ( Centropyxis aculeata), ディフルギア( Difflugia acuminataD. lobostomaD. oblongaDifflugia sp.), Lesquereusia, ヒアロスフェニア(Hyalosphenia nobilis), ヘレオペラ(Heleopera silvatica), フレンゼリナ(Frenzelina), ユーグリファ( Euglypha acanthophoraE. scutigera?, E. tuberculataEuglypha sp.), トリネマ(Trinema sp.), サイフォデリア(Cyphoderia sp. 初観察, scaleが円形で四隅が重なる), スフェノデリア(Sphenoderia lenta), クアドルレラ(Quadrulella sp.), ラッパムシ(Stentor 初観察 大核1個, 細胞質は黄色), リトノタス(Litonotus), アスピディスカ( Aspidisca costataAspidisca sp.), ウロトリカ(Urotricha), クリプトファリンクス(Cryptopharynx), プルーロネマ(Pleuronema), 珪藻各種, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), コウガイチリモ( Pleurotaenium minutumP. nodosumP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium abruptumC. baillyanumC. costatumC. dianaeC. gracileC. intermediumC. rostratumC. striolatum?, C. toxonClosterium sp.), アルスロデスムス( Arthrodesmus octocornis), トゲツヅミモ(Xanthidium antilopaeum), ホシガタモ( Staurastrum sp. 腕4本), ツヅミモ( Cosmarium contractumC. ornatumC. pseudopyramidatumCosmarium sp.), イボマタモ( Euastrum crassumE. gnathophorumE. sinuosum), アワセオオギ(Micrasterias rotata), ハタヒモ(Netrium digitus), Sphaerozosma vertebratum, チリモ( Desmidium coarctatumDesmidium swartzii), Bambusina, ユレモ(Oscillatoria), ワムシ, イタチムシ,

枯木沼湿原(日光市),12:12
1〜3枚目:木道脇で咲くワタスゲEriophorum vaginatum)の花。 4枚目:クロサンショウウオHynobius nigrescens)の卵塊。

枯木沼湿原(日光市),12:13
1,2枚目:パノラマ撮影。 湿原の東端が近付くと水辺が大きく広がる。

枯木沼湿原(日光市),12:16-12:18
1,2枚目:湿原の東端が近付いたところで東側を向いてパノラマ撮影。 2枚目:前方に見えるのが「みはらしスキー場」。 というか現在は,エーデルワイス・スキーリゾートの枯木ペアリストとそのゲレンデ, チャレンジコース?(360m,エーデルワイス・スキーリゾートのHPより)。 チャレンジコースの右脇にもゲレンデがある。 こちらはスマイルコース(500m)。 3枚目: ここで採集(枯木沼,東側の木道脇)
観察された生物: マルウズオビムシ(Peridinium), クリプトモナス(Cryptomonas), 小型鞭毛虫数種, ナベカムリ(Arcella), ディフルギア( Difflugia elegans), アミカムリ( Nebela barbataN. collaris), コンディロストマ(Condylostoma), ウロトリカ(Urotricha), ディセマトストマ(Disematostoma minor), ヒスチオバランティウム(Histiobalantium natans), ツリガネムシ(Vorticella), 小型繊毛虫数種, 珪藻各種, イカダモ( Scenedesmus circumfususS. quadricaudaS. asymmetricus or S. heimiiScenedesmus sp.), エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), ヒザオリ2種(Mougeotia), コウガイチリモ( Pleurotaenium kayeiP. nodosumP. trabecula), ミカヅキモ( Closterium baillyanumC. costatumC. cynthiaC. dianaeC. gracileC. intermediumC. libellulaC. toxonC. ulna), アルスロデスムス( Arthrodesmus convergensA. extensusA. octocornis), ホシガタモ( Staurastrum gracileS. johnsonii), ツヅミモ( Cosmarium contractumC. ornatumC. moniliformeC. pachydermumC. quadratumC. quadrifarium), トゲツヅミモ( Xanthidium antilopaeum), イボマタモ( E. ansatum v. javanicumE. binaleE. crassumE. denticulatum), アワセオオギ( Micrasterias ceylanicaM. thomasiana), ハタヒモ(Netrium digitus), フタボシモ(Cylindrocystis crassa), ワムシ, ケンミジンコ,

枯木沼湿原(日光市),12:19-12:20
1,2枚目: 木道は湿原の東端近くで右にカーブするが,その近くで木道脇を撮影。
大きく広がった水辺を見ると中心部が薄い赤茶色に染まっていた。 後で分かるが,この赤茶色は,この付近の地盤の色のようだ。 周囲の草と接する付近には水垢というか腐食質がたくさん堆積しているのに, 水辺の中心部にはそれが見当たらない。 これは,おそらくこの付近の地盤から水が浸み出しているからではないかと思う。 というのは,後でもわかるように,この湿原には流入する川が見当たらないのに, 南東側には湿原から水が流れ出す水路があり,その先で沢になっているからだ。 周囲の山に降った雨(ないし雪解け水)が地面に浸み込み,それが湿原の東端付近で浸み出しているのだろう。 そして,浸み出した水が,湿原を東から西,そして南へと流れ,沢へと向って流れていくのだろう。 ただし,浸み出す量がそれほど多くないのと,それらが湿原全体に広がって流れるため, 水流は非常にゆっくりとしていて,その結果,多くの原生生物が生息できていると推察される。

Part II: 湿原北岸沿い(東端→西端)
2009.05.01, 12:21 - 12:56

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