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2006.09.13, Part II

田代平湿原(2)

田代平湿原を東へ(青森市駒込),07:54-07:55
さっそく池塘が現れた。少々離れているので,いつものカップ付指示棒を出そうとして,ハタと気がついた。 「ない!」(2枚目)。そういえば,今朝,ホテルを出た時も,この中には無かったような気がする。 脳にはその時の画像の記憶がかすかに残っているものの,そこから「カップ付指示棒がない」という認識につながらなかった。 不思議なものでいざ使おうとした時になって初めて「無い」ことに気づいた(注)。
やむなく,木道の上にかがみ,腕を必死に伸ばして池塘の端でどうにか採集した (田代平湿原-1)。
観察された生物: 共生藻を持つラッパムシ(Stentor), 珪藻各種, Botryococcus braunii, ヒザオリ(Mougeotia太い),

注:記憶を辿ってもどこで無くしたのかが思い当たらない。 青森に来てから手下げ袋から出した記憶はないし,列車の中で出し入れしたはずもないので, おそらく前日の八幡平で出し入れした際に,どこかで置き忘れたか, あちこち歩いている間に落としてしまった可能性が高い。 しかし,その場所がまったく思い当たらない。御在所湿原にある五色沼で使用したのは画像にも残っているので, 少なくともその時点まではあったのは確か。しかし,それ以降(八幡沼湿原で),使ったかどうか記憶がはっきりしない。

田代平湿原を東へ(青森市駒込),07:56
気をとりなおして,とにかく前進。

田代平湿原を東へ(青森市駒込),07:57
また池塘があった。幸い,この田代平湿原は池塘が多く,木道のすぐ側にもたくさんあるので, 今回はカップ付指示棒がなくてもなんとか採集ができた。 次はここで採集(田代平湿原-2)。
観察された生物: 珪藻各種, カリキモナス(Calycimonas physaloides), ユーグリファ(Euglypha sp.), Frustulia), ヒザオリ(Mougeotia太い), シネココッカス(Synechococcus), ワムシ, ミジンコ, ソコミジンコ?(細長い),

田代平湿原を東へ(青森市駒込),07:57-07:58
すぐ近くにも大きな池塘が。今回は比較的最近雨が降ったらしく,だいぶ水位が上がっているため採集がしやすい。 ここでも採集(田代平湿原-3)。
観察された生物: カリキモナス(Calycimonas physaloides), 珪藻各種, クロオコッカス(Chroococcus), ミジンコ,

振り返って撮影(青森市駒込),07:58

田代平湿原を東へ(青森市駒込),07:58
周囲をパノラマ撮影。


田代平湿原を東へ(青森市駒込),07:59
かなり浅い池塘があった。ここで採集(田代平湿原-4)。
観察された生物: Assulina, 共生藻を持つプラチオフリア(Platyophrya similis), 珪藻各種, ワムシ,

田代平湿原 中央ルートを東へ(青森市駒込),08:00
カップ付指示棒を無くしたことに気付いてかなり動揺していたためか,ルートの目印になるものを撮影し忘れた。 おそらくこの辺から中央ルートへ入ったはず。

田代平湿原 中央ルートを東へ(青森市駒込),08:00-08:02
2枚目:案内板によれば,熱帯性スイレン(ヒツジグサ Nymphaea),のはず。

田代平湿原 中央ルートを東へ(青森市駒込),08:02-08:03
ウメバチソウParnassia palustris

田代平湿原 中央ルートを東へ(青森市駒込),08:03-08:04
ここでも採集(田代平湿原-5)。 他では観察できていない(=珍しい), E. pinnatum がまた見つかった。この種は今のところここだけ。
観察された生物: フセツボカムリ(Centropyxis), ディフルギア( D. elegans), ウロトリカ(Urotricha), マイクロソラックス(Microthorax), ハネケイソウ(Pinnularia), 他の珪藻各種, Botryococcus brauniiDimorphococcusElakatothrixGloeocystis, エレモスフェラ(Eremosphaera viridis), サヤミドロ(Oedogonium), ゲミネルラ(Geminella mutabilis), ヒザオリ(Mougeotia), アオミドロ(Spirogyra), コウガイチリモ( P. trabeculaP. nodosum), ミカヅキモ( C. baillyanum, ツヅミモ( C. amoenum), ホシガタモ( S. forficulatum), イボマタモ( Euastrum ansatum ?, E. ampullaceumE. crassum), E. pinnatumE. sinuosum, アワセオオギ(Micrasterias thomasiana v. notata ?), ダルマオトシ(Hyalotheca dissiliens var. tatrica), クロオコッカス(Chroococcus), イタチムシ,

田代平湿原 中央ルートを東へ(青森市駒込),08:05-08:06
ここはかなり干上がっているというか浅い池塘。ここでも採集(田代平湿原-6)。
観察された生物: マヨレラ(Mayorella), フセツボカムリ(Centropyxis), ディフルギア( D. bacillifera), ヘレオペラ(Heleopera), ハネケイソウ(Pinnularia), 他の珪藻各種, サヤミドロ(Oedogonium), ヒザオリ(Mougeotia), コウガイチリモ( P. nodosumP. minutum), カメガシラモ(Tetmemorus brebissonii), ミカヅキモ( C. dianaeC. idiosporumC. abruptum), ツヅミモ( C. quadrifarium), イボマタモ( E. humerosumE. ampullaceum), アワセオオギ(Micrasterias truncata), ハタヒモ(Netrium digitusN. oblongum), フタボシモ(Cylindrocystis), クロオコッカス(Chroococcus), ユレモ(Oscillatoria), イタチムシ, クマムシ,

今回は十分に採集できなかったが,総括すると,湿原の入口付近の池塘には原生生物はあまりいないが, 中央ルート付近の池塘はかなり原生生物の種類が多いことがわかった。 ようするに湿原の中央部分にたくさんいて,周辺部分では少ないということ。 これは,これまでの他の湿原の観察結果(月山/弥陀ケ原,立山/弥陀ケ原)や,この後の毛無岱の採集結果と同じ。

駐車場へ戻る(青森市駒込),08:06
もう少し行けば湿原の北側ルートへの分岐があるはずだが,すでにかなり時間が経っている。 タクシーの運転手には30分で戻ると云ってあるので,このまま前回同様,北側ルートで戻るとなると, 30分以内には戻れそうもない。写真撮影にかなり時間をとられているためだ。 そこで,ここで北側ルートへ行くのを断念し,元来た道を辿って戻ることにした。
今回は前回に比べると(2005.7.16),9月ということでだいぶ周囲の草丈が高い。それで見通しがよくないのも災いした。

駐車場へ戻る(青森市駒込),08:07-08:08
ウメバチソウParnassia palustris

駐車場へ戻る(青森市駒込),08:11

駐車場へ戻る(青森市駒込),08:14

駐車場へ戻る(青森市駒込),08:15
どうにか約束の時間(30分;実際にかかった時間は07:46〜08:15ということで29分)内に駐車場へ戻ることができた。 この後,再びタクシーに乗車し,八甲田ロープウェイの山麓駅まで移動。

Part III: 八甲田ロープウェイ(山麓駅〜山頂公園駅)
2006.09.13, 08:32 - 09:12