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核変化の観察
これは,神奈川県の教育センターで実習を担当した際に作成した資料です(一部改変)。
ポイント
1 核変化のステージを事前に理解しておく
小核の減数分裂 前期 中期 後期
配偶核の有糸分裂
雌雄性核(移動核・静止核)の分化
核交換 受精(新世代の誕生)
受精核の分裂 大核小核の分化
大核の断片化,退化
2 所要時間
ステージを追って染色・観察しようという場合は,スケジュールに注意!
接合過程全体が完了するまでには24時間以上かかる。
適当に時間をずらして接合誘導を行ない,染色時に,同時に異なるタイム
コースのサンプルが得られるようにスケジュールを工夫する必要がある。
3 培養法について
レタスジュース(またはアカエンドウマメ)などの培養法でないとだめ。
なぜなら,培養の増殖期と定常期がハッキリ区別できる培養条件が必要だからである。
キナコ+フラスコ培養では,増殖期と定常期の境が曖昧で,いつから接合活性が出るかを
予測しずらい。(特に増殖速度の異なる株を用いる場合,条件を揃えるのが困難。)
その点,レタスやアカエンドウでは,増殖期は培養液が濁り,定常期に達すると透明に替わる。
また,試験管培養なので全体に増殖は押さえ気味。そのため,エサを与えてから翌日には
大部分の株が接合型活性を示す。このため,なかなか接合過程を観察するのは難しい。
準備するもの
染色用試薬
カルノア(エタノール:酢酸=3:1)
6N塩酸
水
染色液(アズールC水溶液)
染色液(ファストグリーン水溶液)
エタノール
キシロール
*各々の試薬を入れるための染色用バット(ガラス製)も必要である。
プレパラートの作成用器材
試料の濃縮・塗布用 手回し遠心機,先の長いパスツールピペット
包 埋 用 包埋剤(エンテランニュー等),カバーグラス,ピンセット
風 乾 用 小型ヘアードライヤー(なくてもよいがあると便利)
細胞の調整
接合型活性の強い細胞を準備する。
「ならし期間」が必要。
活性の強い細胞を得ることの難しさについて。
(簡単に失活し易い。原因:温度,振動,コンタミ,酵素)
接合型活性の出現条件
成熟株であること,培養の定常期,かつ,古過ぎない,若過ぎない・・・
コンタミの影響 ものによりだめの時あり,とくに定常期に達しても培養液が白くにごるようなコンタミだとだめの場合がほとんど,膜張り型だと大丈夫のときもある。
そのような場合,どうするか?
→詳しくは,「接合誘導」の解説文を参照
本 番
ステップ 1:接合の誘導
高率に接合対を形成させる
クランプに参加していないものを取り除く=上澄みを減らす
同調して接合を!
途中でクランプから抜け出したものを除く,
サンプリングの際の注意
0〜3時間目までは接合対は離れ易い。
同調してないと意味ない。
ステップ 2:プレパラートの作成
試料の塗布・乾燥
細胞の形をくずさず,大量の細胞を均一に!
観察し易くするためには,ある程度の細胞密度が必要
藤島法が最適
風乾
- 手回し遠心機による細胞の濃縮
- ミニ遠心管が必要 長いパスツールピペットも
- スライドガラスへの張り付け・乾燥
ステップ 3:固定・染色
ここでは簡易法として,アズールC+ファストグリーン法を用いる。
手順
- カルノア固定(10')
- 6N塩酸による加水分解(5')
- 水洗×2(5'×2)
- アズールC染色(10'〜15')
- 水洗(1〜2')
- ファストグリーン染色(1'以内)
- 水洗(数秒で十分,長くおくとファストグリーンがほとんど抜けてしまう)
- 風乾による脱水(本来なら徐々にアルコールに置換するがこの標本の場合はこれで十分)
- アルコール(5')
- アルコール+キシロール(5')
- キシロール(5')
- 包埋(エンテランニューが一番) カバーグラス&ピンセットが必要。
ステップ 4:観 察
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