インターネットを利用した生命科学情報の広域データベース化とその意義
日本産アリ類カラー画像データベースの紹介
ネットワークは救いの神?
以上のような時代変化に呼応するかのごとく,近年はコンピュータ利用技術の発達が著しい。とくに,そのネットワーク(インターネット)における情報交換機能の進化にはめざましいものがある【4】。インターネットは当初軍事研究を目的としてスタートしたが,やがて一般の科学研究用ネットワークとして大きく成長した(URL: gopher://akasha.tic.com:70/11/matrix/growth/internet)。そして,利用者の数が急増するにつれ,様々な分野の研究者がさまざまな形でインターネットを利用するようになった。
すなわち,前述の電子メール,ニュース,メーリングリスト,ニュースレター,電子ジャーナル,電子図書館の類である。これらは,機能面から基本的に2つのタイプに分けることができる。1つは,手紙,電話,学術雑誌といった既存のメディアが果たしていた役割を補完,ないしは補強するものである。電子ジャーナルやプレプリント交換は補完するどころか,やがては学術雑誌など既存のメディアを駆逐してしまうのではないかとさえいわれている【5】。
一方,従来のメディアでは果たせなかった新しい機能も生まれている。それは広域データベースと呼ばれるもので,ネットワークを介して公開・共有された研究情報データベースをいう。広域データベースの特徴は,学術雑誌等既存のメディアが扱う研究情報だけでなく「その他」の情報まで含め,ありとあらゆる研究情報を扱える点にある。「その他」とは,論文には掲載しにくい詳細な内容の実験・観察データや,それ以外のなんらかの理由で既存のメディアに載せにくい情報をさす。これらをデータベース化してネットワーク上で公開・共有しようというのである。
これは既述したように情報の集積なくして成立しない生命科学分野においてはとくに顕著である。よく知られているのは遺伝情報データベースであろう。これらはDNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列などを研究素材情報として一般公開し研究に役立てようとするものだ。遺伝情報は元来コンピュータで処理しやすいので,データベース化もされやすいのは当然である。しかし,コンピュータの処理能力の向上に伴い,最近では遺伝情報だけでなくこれまでは電子化されにくかった様々な生命科学情報(染色体その他の標本の写真やDNAの電気泳動像など)が広域データベース化されるようになった。
以下にそれらの広域データベースをまとめたgopherサーバをいくつか紹介する。
1: 画像を扱ったgopher sitesをまとめたところ。
Host=gopher.dna.affrc.go.jp
Path=/Other_Gopher/Images_from_Gopher
2: 研究材料ごとのgopher sitesをまとめたところ。
Host=ftp.bio.indiana.edu
Path=/Species
3: データベース検索サービスをまとめた ところ。
Host=merlot.welch.jhu.edu
Path=/Database-Searches
4: 電子ジャーナルをまとめたところ。
Host=gopher.cic.net
Path=/e-serials
5:生物学関連のネットワークニュースをまとめたところ
Host=net.bio.net
Path=/