*ピペットをガスバ−ナ−で引いてつくる方法,コツについて
また,ひっぱる際にやわらかくなったものを急に引くと,細い口先になってしまう。そこで,炎の外に出した後,いっとき間をおいてから引くのがコツである。かといってあまり時間がたって冷えてしまうと十分に細くすることができない。その間合いは各自経験によって学んでいくしかない。
この細胞移植用のピペットは,先に示したように市販のパスツ−ルピペットで代用することができる。ただし,長さが少し足りないのが欠点である。長めのものもあるが,これは先の細い部分が全体の半分位あるもので,試験管(18 x180 mm)から細胞を移植する為には適さない。(注;ただし,これは他で述べるが,長めのパスツ−ルピペットは,手製のガラス管を加工してつくった遠心管を使用して手廻し遠心を行う際,細い管の底に集まった細胞を吸い取るのに大変便利である)。
まず,通常のピペットで先が折れたりして使えなくなったものを用い,各自好みの長さの部分をガスバ−ナ−で熱し,細く引いてつくる。この際,もとの太さのガラス管から引いたのでは,あまり細い先にならないので,いったんかるく引いて,あるていど管の細い部分をつくり,さらにこの部分を熱して引く。こうすると,なめらかに先が細くなっていくピペットができる。
硬質のガラス管を使った場合,火力の強いふいご式のバ−ナ−を用いないとガラス管の加工ができない。一方,パスツ−ルピペットは軟質ガラスを使っているので,ガス管から引いただけのバ−ナ−で十分加工することができるので便利である。